3Dプリント材料の曲げ強度を測定するための標準的な試験方法について説明します。 この試験により、材料の機械的特性を定量的に評価することができます。
本ページで使用している3点曲げ試験機は、市販の万能試験機ではなく、管理人が自作した簡易的な装置です。 絶対値としての精度は高くありませんが、「同じ条件で造形した試験片同士の比較」を行う目的であれば、十分な再現性が得られることを想定しています。
荷重を加える高さ方向の制御には、ステッピングモーターとリードシャフトを使用しています。 モーターの回転角度からリードシャフトの送り量を計算し、おおよその変位量を制御する方式です。
荷重は、定格100 kgのロードセルで測定しています。 ロードセルからの信号を読み取り、試験中の荷重変化を記録できるようにしています。
治具本体(ベースや保持部など)の多くは PLA-CF で3Dプリントしており、 試験片と接する部分(支点の接触面および中央の押し子)には、直径φ10 mmのSUS製ダボピンを取り付けています。 プラスチック部分が摩耗・変形しないようにしつつ、試験片にはできるだけシンプルな接触条件となるよう配慮しています。
以上のように、あくまで「自作の簡易試験機」であるため、ここで得られる数値は厳密な試験規格に完全に準拠するものではありません。 本サイトでは、同じ治具・同じ条件のもとで造形条件や材料を変えたときの相対比較を主な用途としています。
試験片はISO 178の曲げ試験を参考にしています。寸法や印刷条件は、以降のデータ比較で同じ前提になります。

| 長さ | 80mm |
| 幅 | 10mm |
| 厚さ | 4mm |
積層方向による違いを比較するために、同じ形状の試験片を次の3パターンで造形しています。
試験片の長手方向をベッド面に対して水平に配置し、造形時のスジ(レイヤーライン)が長手方向と同じ向き(平行)になるように印刷します。
試験片の長手方向をベッド面に対して水平に配置しつつ、レイヤーラインが長手方向に対して斜めになるように印刷します(例:45°前後の角度で積層方向を傾けるイメージ)。
試験片の長手方向がベッド面に対して垂直になるように、立てた状態で印刷します。曲げ荷重に対して、層間方向がもっとも厳しくなる向きです。
※写真中の黒い線は、印刷方向(造形時の向き)を示しています。パターンの違いは、この向きとレイヤー方向の関係として整理しています。
本ページの曲げ強度試験は、あくまで「同じ条件で造形した試験片同士の比較」を目的とした、簡易的な評価です。 専用の試験室や厳密な試験規格に完全に従った測定ではなく、自宅環境で可能な範囲の実験として位置づけています。
試験片の外形寸法(厚みや幅など)は、モデリング時の設定値どおりとみなし、試験前に個々の試験片の寸法測定は行っていません。 そのため、ここで示す値は「設計寸法ベースで計算したときの曲げ強度の比較」として扱ってください。
試験環境については、温度や湿度を専用の装置で管理できる環境ではありません。 自宅の作業部屋で実施しているため、室温・湿度はその時々の環境に依存します。 空調や除湿器のオン/オフによる極端な変化は避けていますが、厳密な環境試験ではない点にご注意ください。
測定は基本的に、同じ条件で造形した試験片3本を用いて行っています。 それぞれの最大荷重を記録し、傾向を確認するための参考値として扱っています。
なお、本サイトでは、標準偏差や統計的なバラツキ評価は行っていません。 また、破断面の詳細な観察や破壊様式の分類も実施しておらず、 ここでは「どの条件/材料が相対的に強そうか」をざっくり比較するためのデータとして公開しています。
曲げ強度 σ = 3FL / (2bh²)
重要:本サイトの測定結果は、学術的な研究や製品設計の根拠として使用することは想定していません。 あくまで個人的な興味・検証の範囲での参考データとしてご覧ください。
厳密な材料試験が必要な場合は、JIS規格やISO規格に準拠した試験機関での測定を推奨します。

3点曲げ試験の基本構成:試験片を2点で支持し、中央から荷重を加える
• ISO 178:プラスチック - 曲げ特性の求め方
• ASTM D790:プラスチックの曲げ特性試験方法
• JIS K 7171:プラスチック - 曲げ特性の試験方法
個人利用は自由ですが、公開する場合は必ずお問い合わせください
本サイトで公開している試験データ(曲げ強度、応力-ひずみ曲線、CSV等)は、個人的な材料選定や学習目的での利用は自由です。 ただし、動画・記事・SNS等での公開、データの転載・再配布を行う場合は必ず事前にお問い合わせください。
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